※2021年度より観測的銀河考古学は、「星の村プロジェクト」と合併しました。星の文化館100cm反射望遠鏡を使った天体観測や、Dragonfly望遠鏡の開発制御を星野村で実践できます。
研究の目的は天の川銀河の歴史を明らかにすることです。そのためには、古い天体(古い星,球状星団,矮小銀河など)を調べることが有効です。なぜなら、古い天体は過去の銀河の情報をそのまま保持しているからです。例えば、戦争を体験したご年配の方に戦時中の話しをしてもらうと、戦争の生々しい状況が分かりますよね?温故知新という言葉があるように、昔の情報は私たちに様々な新しい知見をもたらしてくれます。
実際にどうやって古い情報を得るかというと、すばる望遠鏡のような大型の光学望遠鏡を使って、星を一つひとつ観測します。得られた恒星のビッグデータをプログラミングを用いて統計解析し、星の空間分布、化学組成、運動などの物理量を求めます。それらの結果を、銀河がどうやってできてきたかを再現するようなシミュレーション研究と比較することによって、銀河の歴史を推測できます。現在の銀河形成の描像では、小さな銀河が重力でたくさん集まり。大きな銀河へと成長していったと考えられていて、観測からも確かめられています。しかしながら、大局的な描像は分かってきましたが、その一つひとつの形成合体の詳細はよく分かりません。
 我々は特にアンドロメダ銀河の観測を進めて銀河形成の歴史を解明する研究を推進しています。古い天体は特に銀河のハローと呼ばれる領域に散在していて、アンドロメダ銀河のハローは、その直径が満月100個分以上の見かけの大きさがあるので観測にとても時間がかかります。そこで、すばる望遠鏡のHyper Suprime-Cam(HSC)Prime Focus Spectrograph(PFS)という超広視野カメラを用いた観測を行うことによってその問題を解決し、アンドロメダ銀河の古い天体を一網打尽にする計画を進めています。また、より一般的な銀河形成のシナリオを調べるために、銀河の形や環境の違いがどのように銀河の歴史に影響を及ぼすのかを調べるために、様々なタイプの近傍銀河や矮小銀河の観測も同時に進めています。
このプロジェクトは、東北大学や国立天文台などと協働で進めているプロジェクトで、当ゼミではデータサイエンスの強みを活かして、統計的なデータ分析手法の適用で協力しています。
【アンドロメダ銀河ハローのHSCサーベイ】
アンドロメダ銀河のハロー領域をHSCを用いて大規模な撮像観測をしています。そして、PFSを用いて撮像観測した恒星データを一つ一つ分光観測し、化学組成や運動情報を測定します。

すばる望遠鏡HSCで観測したアンドロメダ銀河ハロー領域。左下がアンドロメダ銀河の中心領域。

【銀河系の端が見えてきた】
天の川銀河の端にはどのような恒星がどのように分布しているかについて、HSCで観測された恒星ビッグデータを統計分析して調べた研究です。
太陽系から見た「青色水平分枝星」と「青色はぐれ星」の空間分布。 (c) 東北大学
【クジラ銀河には化石がいっぱい】
クジラ銀河(NGC4631)の周辺領域を観測して、恒星ストリーム(細長い恒星群)2個と矮小銀河11個を発見しました。この発見は、銀河の歴史の多様性を理解する重要な手掛かりなる研究です。
すばる望遠鏡/HSCの画像:
https://hsc.mtk.nao.ac.jp/LUGal/NGC4631/
HSC観測で発見した矮小銀河。観測によってこれまで矮小銀河だと思われた天体が、実は矮小銀河ではなかったことも確認しました。(c) 東北大学/国立天文台
【Ultra Faint Dwarf(Virgo I)の発見】
HSCを用いて、銀河系に付随する極めて暗い衛星銀河の発見しました。銀河系の形成史やそれを左右するダークマター(暗黒物質)の性質を知る手掛かりになる研究です。

衛星銀河 Virgo I の位置関係などを示したアニメーション。(c) 国立天文台

Back to Top